Desire.3
「、
最上、さん……」
地面に座り込んだ国見を背に立つ。目の前には使い魔。舌打ちが漏れる。及川は一緒にいなかった。
「アンタらもしかして不幸体質なの?」
二丁銃を両手に構える。今日も生き残れるだろうか。
一匹だけ仕留め損ねた使い魔の末端が、国見の頬に一筋の切り傷をつけ消滅した。巻き込むしかできない自分の情けなさに歯ぎしりしながら国見に近づくと戦闘をずっと見ていた国見は頬を抑えながら呆けたように口を開けていて、しゃがみ込んで目線を合わせると国見は慄いたように少しだけ後ずさる。太ももを膝で軽く踏んで捕まえ、ソウルジェムを国見の左頬に近づけた。
「うおっ」
シュウ、と音を立てて国見の顔は傷ひとつなくなった。切り傷ひとつと言えども使い魔がつけたものだし、用心には用心を加えなければいけない。ソウルジェムは半分程濁っていた。前に浄化してからさほど時間は経っていないのに。刻一刻と限界が近付いている。国見がソウルジェムをじっと見つめているのに気づいて素早く指輪に戻した。
「……ごめん」
巻き込んでしまったのは確実にわたしだ。そっと膝を太ももから退けながらするりと出てきた謝罪に国見は目を見開く。
「や、……俺は、大丈夫ですけど」
国見がわたしの中指を見た。
「なに、そこまでわかるの?」
「……魔法少女が、ソウルジェムが原因で死ぬってことは、知ってます」
「……そう」
これが魔法少女の本体だとは知らないようだ。しかし、国見の知り合いの魔法少女、いったいどこまで吹き込んだんだ。一般人に魔法少女の知識を教えるなんて馬鹿げている。
「……及川さんには言ってません。貴女が嫌そうだったから」
「いっそ、すべてを教えてもいいかもね」
魔法少女が本当はゾンビであること、最期には例外なく魔女になってしまうことを教えたら。きっと、及川はわたしのことを、
「それでも、及川さんは貴女を諦めないと思う」
「
翠ちゃん!?」
遠く、背後から及川らしき声が聞こえて振り向くとこちらに向かって必死に走って来ている及川が見えて頭を抱えたくなった。思わず国見を睨む。
「すみません、俺、及川さんの味方なんで」
「
翠ちゃん、国見ちゃん、無事!?」
及川が膝に手をつき肩で息をしながら安否を確認してくる。
「……ほんっっっとうに、話聞かないね」
「……へへ、」
へらへら笑うけど、何度命が危ないと言えば分かるんだろうか、この男。
「……わたしといても、いいことなにもないのに」
思わず漏れた声を及川は聞き逃さなかった。
「そういうので一緒にいるんじゃないよ」
わたしは大きくため息をついた。国見がほらね、と言わんばかりの顔をしていたのを横目で見て思いっきり睨みつけてやったけれど、全く怯んだ様子がなかった。こいつ及川の後輩だったな、そういえば。キュゥベえの言葉が今更浮かんで、わたしは強く目を瞑った。ああ、とりあえず、もう休みたい。
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