※夢じゃない
「わああ!!」
笑顔ってどうやればいいのか、とまで言っていたエリちゃんの決してぎこちなくない心から浮かべているであろう歓喜の表情に、思わず滲んだ涙で視界が歪む。
今まで瘴気のように彼女に纏わりつき、彼女の心を蝕んでいた治崎の幻影が霧散していくのが見えた気がした。
ああ、この子は、エリちゃんは、もう苦しくないんだ。彼女を苦しめていたありとあらゆる感情から遠ざけられていることにひどく安堵した。俺たちがインターンで多くの人に多くの事に影響をもたらしたものものは、決して無駄ではなかったのだと思った。目頭が熱い。
たったそれだけのことで、なんてあまりにも杜撰が過ぎることは言えないけれども、これで救われた気になってしまうのだから俺はなんて身勝手な男なんだろう。
2018.05.16
No.182