「へえ、コウくんがSEAUnに?そりゃまた大層なことになってるね」
「そうなんです!反政府テロリスト集団のゲリラに加担しているっていう容疑を掛けられてて、だから私、捜査に行こうと思って」
「随分危険な真似をするねぇ」
「だって!このまま放っておけません!狡噛さんをこの手で逮捕するって、決めたんです」
「うーん、私は監視官でも執行官でもないし、ましてや一係の人間でもないからあんまり深いところまでは訊けないけどね、守秘義務が附属してくる内容だから」
「うっ……そ、そうですよね……」
「でも、うん、そうだなあ、私、今度ちょっと長めに有給取ろうと思ってるんだよね。未詳ってほら、当直とかないし非常勤なところあるのにここのところずっと出ずっぱりでね、だからそうだなあ、一人旅でSEAUnに行ってみるのもいいかもしれない。そうしたら偶然コウくんと会うことがあるかもしれないし、うん、朱ちゃんも偶然同じ場所で会うこともあるかもしれないよね。偶然」

 驚いたようにこちらを見遣った朱ちゃんに、物は言い様だな、と自分の発言を笑ってみた。
 随分甘くなったという自覚はある。今までの私だったらここまで屁理屈紛いのことは言わなかったに違いない。そういう役回りは紗綾だけで十分だ。私は紗綾ほど頭が切れる人間ではないし決して戦闘向きのスペックホルダーではないから、戦闘に向かないくせに先陣きって突っ込んでいく紗綾と、元SITの丙部隊長なだけあって戦えるけれど人より少し身体が丈夫なだけですぐ無茶をする瀬文さんのストッパーでいなければいけなかった。ときには焚き付けたときもあったけれど、大体の場合は野々村係長が出てこれない現場で代わりに二人を諌める役回りだった。
 今までのことを水に流して、なんていうことは勿論ないけれど、思っていたよりも自分は変わってきているようだ。色相や犯罪係数は置いておくにしても。

2015.07.26
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